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大腸憩室炎/結腸憩室炎

※本サイトに記載されている情報は、疾患に関する国内外のガイドラインや論文、専門書籍を参考に記載しています。疾患の診断を受けた患者さんが病状を理解するサポートを目的としたものであり、本情報を元とした自己診断を推奨するものではありません。また治療方針については、施設や医師の判断により異なることがあるため主治医の先生とご相談ください。

目次

病態と疫学

大腸憩室と呼ばれる、大腸から外に飛び出した構造物に炎症を起こした状態です。
袋状になっている憩室に食物のかけら(食物残渣)や細菌がたまることが原因になると言われています。若年の方から高齢の方まで男女問わずに発症することのある病気です。

※下記は大腸憩室炎発症のイメージです

大腸憩室
大腸の壁にある弱い部分が、嚢状(袋状)に腸管外に突出するように張り出したものを言います。
保有率は20%〜50%ほどと言われており、大腸検査を行っていると約3〜4人に1人程度の頻度では見られます。
好発部位は上行結腸とS状結腸で、若年の方は右側結腸(上行結腸や右側横行結腸)に多く、年齢を重ねるにつれてS状結腸に憩室が増えてくると言われています。

※憩室を持っていること自体が病気というわけではありません。ただ大腸憩室を持っている方の中で数%の方が憩室炎や憩室出血などの憩室関連疾患を発症するとされているので、憩室があることはそうした疾患のリスクであるといえます。

症状

腹部の強い痛みで発症することが多く、その他発熱や吐き気、便通異常が見られることもあります。
痛みが生じる場所は炎症が起こる憩室の部位により様々です。

局所的な痛みであることが多いですが、痛みは強く冷や汗が出たり、歩くとお腹に響くような痛みが出ることがあります。重篤な場合には穴が空いて(穿孔)、膿瘍と呼ばれる膿だまりをお腹の中に作ったり腹部全体の腹膜炎(汎発性腹膜炎)を来すことがあります。

検査

憩室炎の検査としては、主に血液検査や腹部CT検査が行われることが多いです。
血液検査で炎症反応の上昇を確認したり、CT検査で大腸の憩室周囲の炎症が確認できれば憩室炎と診断がつきます。

腸の炎症の状態を詳しく評価するため、造影剤を用いた造影CT検査が行われることもあります。

治療

憩室炎の治療としては、腸管安静(食事を止めて、点滴でお腹を休ませること)や抗菌薬の治療が行われることが多いです。軽症の場合には抗菌薬の内服だけで見ることもありますが、病状によっては入院での治療が必要となる場合があります。
穿孔や膿瘍形成などの重篤な合併症がある場合には、外科的な手術治療が必要となる場合があります。

Q&A:実際の診療で受けることの多い質問についてお答えします。

患者さん

この病気は再発しますか?

あぶ

憩室炎は再発しやすい疾患です。点滴などで治療を行なった場合の憩室炎の再発率は約10%程度とされています。

患者さん

病気を予防することはできますか?

あぶ

残念ながら、病気の予防方法は確立されていません。
再発を繰り返す場合には外科手術を行うこともありますが、体への負担が大きいためよほどひどい場合に限られます。

患者さん

この病気が癌になることはありますか?

あぶ

憩室を持っている方には大腸癌が見つかることがやや多いと言われていますが、憩室炎自体が発癌を促すという根拠はありません。
私は憩室炎を診断した方には症状軽快後に時間を空けて一度大腸カメラを受けていただくことをお勧めしています。

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この記事を書いた人

総合病院で勤務する消化器内科医あぶです。
妻と娘の尻に敷かれる一児の父。
専門:消化器全般(消化器病専門医/消化器内視鏡専門医)

このブログでは消化器を中心とした病気やお薬、治療などの全般的な情報の発信を行っています。
患者さんのためのわかりやすい病気や治療、検査のお話
医療者のための最新の論文紹介や治療に関する最新の知見紹介

論文やガイドラインの引用をできるだけ行いながら信頼のある情報発信を心がけています。ぜひよろしくお願いします。

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