うぅ。。
今日の夜に大量のお酒を飲んでから急にお腹と背中の痛みが。
吐き気もあって痛みがどんどん強くなってきています。
わかりました。しっかり調べたほうが良いですね。
点滴と血液検査、あとはCT検査をしましょう。
急性膵炎などの重篤な病気の可能性もありますので、、
造影CT検査をしましょうか。
造影CT検査って?
造影CT検査とは?
造影CT検査は、通常の造影検査に加えて造影剤と呼ばれる薬剤を用いて撮像した検査を言います。
基本的な検査の流れは薬剤を用いない単純CT検査と同じですが、CT検査で撮像する直前にそこから薬剤を勢いよく注射してからCT検査を行います。薬剤を投与するため、事前に点滴を取る必要があります。
造影剤はレントゲンで「白く」写ります。CT画像では造影剤が混じった血液は真っ白になり、血液が多く分布する臓器はより白く、血液が少ないところはあまり白くならない、という形で造影剤の分布で画像が変わります。
シンプルに”色付けされた詳しいCT検査”とイメージすればいいです。
検査の目的
医師から造影検査の話が出る場合は下記のような場合が多いです。
- 単純CT検査では評価ができない「血管」や「臓器や病変の血流」の評価
- お腹の中で出血が起こっている可能性がある際の出血源の精査
- 体の中の腫瘍(できもの)について詳しく調べる場合
- その他、単純CTではよくわからない部分を詳しく調べる場合
◆検査のメリット
•血管の評価やお腹の中の臓器の血流の流れや構造をより詳しく知ることができる
•消化管出血の場合は、出血源や原因の事前予測ができることでより明確な治療方針を立てることができる。
※調べたい項目や特に調べたい臓器によって、造影CT検査でのCTの撮影回数は異なります。
血管を調べたい場合や肝臓などを調べる際に行うダイナミックCT検査では造影剤注射後に複数回撮影することがあります。
ただ造影CT検査の話が出たからと言って、
必ずしも怖い病気や重篤な病気というわけではない
ということは知っといて下さい。
検査のリスクについて
検査で投与する造影剤に関連した合併症リスクがあります。
起こる頻度は決して多くはありませんが、
“絶対に起こらない保証はできない”ので必ず同意が必要です。
検査で合併症などがでた際に、「こんなことが起こるとわかっていたら検査は受けていなかった」という方がまれにおられます。
頻度は稀ですが、検査を受ける方の数が多いため誰に起こるのか事前の予測ができません。そのため事前に検査を受ける方”全て”に説明と同意を行っています。
脅し文句のようなリスク説明に気を悪くされないようにお願いいたします。
●造影CT検査に伴う合併症
•造影剤アレルギー
検査の際に注射する造影剤(多くはヨード系の薬剤)に対して起こるアレルギー反応です。
全ての薬剤はアレルギーを起こす可能性がありますが、注射での急速投与を行うためにアレルギー反応がすぐに見られやすい傾向があります。
●アレルギーの種類と発症頻度
軽度のアレルギー(皮疹、かゆみ、嘔気など) :3%(100人に3人程度)
重度のアレルギー(アナフィラキシーショック) :0.004%(2万5千人に1人)
死亡例の報告 :0.0003%(40万人に1人)
”「造影剤血管内投与のリスクマネジメント」医学放射線学会 医療事故防止委員会作成 より引用”
よくあるやりとり
私は食べ物やお薬のアレルギーもないので、アレルギー反応は起きないと思います。
造影剤の検査を受けたことがない場合は、「初めて使うお薬」になるのでアレルギーは絶対に起こらないとは保証できません。
もちろんほとんどの場合は起こりませんが、そこをご理解ください。
私はアトピーと花粉症を持っているのですが、造影CT検査は受けても大丈夫でしょうか?
アトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー疾患を持っていること自体が造影CTを禁止する理由にはなりません。
ただしそうしたアレルギー疾患を持っている方は、造影剤アレルギーのリスクが3倍程度高くなると言われていますので注意が必要です。
•造影剤腎症
造影CT検査で用いられる造影剤は腎臓から体外に排出されますが、その際に腎臓の組織を傷つけてしまい、腎機能の悪化が見られる場合があります。
多くの場合は一過性であり、腎機能に問題のない方に起こることはまれです。しかし腎機能がもともと悪いと言われている方はさらに腎機能が悪くなってしまい、最悪の場合は透析が必要になってしまう可能性もあります。
そのため基本的には血液検査で腎機能の確認をおこなってから、造影CTを撮影することが多いです。もちろん緊急の症例で血液検査を待てない場合は例外ですので、リスクはお話しして撮影することもあります。
•放射線被曝
一般的なCT検査でも同じですが、CTやレントゲン検査は放射線を用いて体内の状態を調べる検査です。検査をする際に体に放射線を当てる必要があるため、放射線被曝は必ず生じます。(医療被曝と表現されます)
ただしCT検査などの医療被曝で用いる放射線量は国内のガイドラインなどに基づき、診断に必要な最小限の放射線になるように調整されています。放射線による身体への影響は0とまでは言えませんが、ほとんど問題になることはないと考えて良いと思います。
まとめ
造影CT検査は身体の状態を詳しく調べるための検査です。
基本的には安全な検査ですが、検査リスクも0ではないため、検査が必要と判断する場合にのみ検査のお話をしています。
わからない部分があればスタッフに聞いていただき、しっかり理解をした上で検査を受けていただければと思います。